JBL 4325はJBL 4320の発売1年後に登場し、JBL 4320とほぼ同様の規格で作られた改良版JBL 4320ともいえるモニタースピーカーでしたが、音質は大きく変化しています。 変更点はウーファーがJBL 4320で搭載された2215Bと同じLE15系で、ボイスコイル・インピーダンスを4Ωとした2216に変わり、中高域はJBL 4320に搭載された0.05mm厚のジュラルミン合金製ダイアフラムと、純銀製インピーダンス・コントロール・リングで可聴周波数の最高域まで輻射効率を高め、4オクターブ以上の広帯域再生を実現したドライバー2420とホーンレンズは2391で、ホーンレンズ2391はスラントプレート音響レンズ(38゜で回折効果を高めるため6.3mm間隔に並べた11枚の傾斜プレートの正面は緻密に計算した双曲線カーブ)との組み合わせにより指向性が45゜×120゜大幅に改善されたドライバー+ホーン(2420+2391)で変更はありませんでしたが、クロスオーバーを800Hzから1200 Hzに引き上げられている点が大きく異なる点です。これは、800Hz〜1200 Hzあたりに量感を与えるためでした。同時に低域レスポンスがJBL 4320は40Hzでしたが、JBL 4325は35Hzに下がっています。クロスオーバーを1200 Hzに引き上げたことにより、聴感上で中域の厚みは増し明快な音になりましたが、やはり38センチウーファーでこの帯域(800Hz〜1200 Hz)は、かなり無理があり質が伴わず残念ながら高い評価は与えられませんでした。外観はJBL 4320の改良版とあって全く言ってよいほど変更がなくJBL 4320と見分けがつきません。当時、日本ビクターはこの音を高く評価し、スタジオモニターに正式採用しました。 なお、JBL 4325発売以降もJBL 4320は製造中止にはならず併売されていました。JBLは目的に合わせて選ぶよう勧めていました。コンシューマーモデルの”JBL L200 Studio Master”は、このJBL 4325を元に家具調のエンクロージャー(グリルは、ブルー、レッド、グレー、ブラックの4種類が用意されました)に入れたものです。ユニット構成はコンシューマー用のLE15B、LE85+HL91を搭載しました。
● JBL 4325:1972年年発売
・2ウェイ・バスレフエンクロージャー(幅610×高さ760×奥行510mm)本体重量39Kg
【ユニット構成】低域:2216B・中高域:2420+2391・ネットワーク:-【クロスオーバー周波数】1200Hz
【周波数特性】35Hz〜15kHz ±3dB 【指向特性】45゜×120゜【最大許容入力】60W(RMS)120W(連続プログラム)
【インピーダンス】8〜16Ω【能率】97dB(新JIS)
解説にもあるように評価が高くなかったことと、評価の高いJBL4320が併売されていたことで注目度も低く販売台数が少なかったことから中古マーケットで見ることがほとんどありません。それに対して、コンシューマーモデルの”JBL L200 Studio Master”の方はよく見かける状況です。
JBL 4325:\392,800
JBL 4325WX:\413,400
*いずれも、1台の販売価格