JBL 4344 モニタースピーカー考察

JBL 4344

JBL 4344 解説

JBL 4344は大ベストセラーを記録したJBL 43434343Bの後継モデルとして開発されました。JBL 4344はJBLがワイドレンジ化と、各ユニットの受け持ち帯域を狭く取り、凹凸のないフラットレスポンス、そして低域から高域までのエネルギーを均等に確保するという、JBL4341から始まった4ウェイ 化のある意味での完成形ともいえるモニタースピーカーです。JBL 4344は1982年に発売され10年以上も販売され続け、JBLの中でも大ロングセラー のモニタースピーカーです。JBLの長い歴史のなかで、ひとつの世代を代表する製品であるとも言えます。JBL 4344を、それ以前のJBL モニタースピーカーと聞き比べると明らかにレンジが広くバランスの良いことがわかります。JBL 4344は、2〜3 ウェイ(JBL 4320~4333B)のレコーディングスタジオで検聴用に使われるスタジオモニターからスタジオで録音した状態を多くの人に聴かせるプレイバックモニターの方向性のスピーカーです。JBL 4344の基本的な外形サイズは前作JBL 4343と変化はありませんが内容面では完全な新設計です。外形サイズが、JBL 4343と同一であることからJBL 4343の派生モデルと思われがちですが、JBL 4345系の設計を継承していことからJBL 4344は、JBL 4345からの派生モデルであると考えるべきです。それは、ひとつとしてJBL 4344のフロントバッフルボード上でのユニット配置が、JBL 4345を踏襲した配置シンメトリー(左右対称)となり、バスレフダクトの位置がJBL 4345と同じように縦並びで中低域の横に設けられ、更に JBL 4343(B)で採用されたフロントバッフルボード2分割を廃し、JBL 4344はJBL4345と同じく完全な縦型フロアー型となっていることからです。エンクロージャーの内部構造も、JBL 4344とJBL 4343(B)では全く異なり中低域のミッドバス用のバックキャビティが、ほぼ正方形で奥行きの深い形状となり、補強も強化されフロントバッフルボードとバックボード繋ぐ補強材、また天板と底板にも横方向で補強材が入っています。一方、側面の補強材は横方向から縦方向に変更されています。これらの、補強を見るとエンクロージャーを押さえ込む方向より、むしろ適度にエンクロージャーを鳴かせ響きを引きだそうとする方向性の設計です。JBL 4344はユニットも、ウーファーはこれまでJBL 4300系モニタースピーカーで標準的に使われてきた JBL 2231A、2231Hから振動系を一新したJBL 2235H。中低域のミッドバスは、JBL 4345と同じコンペックス型センターキャップ付きのJBL 2121H。中域のコンプレッションドライバーは、ダイヤフラムエッジ構造を従来JBL 2420系で採用していたタンジェンシャルエッジから、ダイヤモンドエッジに改良一新したJBL 2421B(後期型は2425J)。JBL 4344はネットワークもその構造から根本的な改良がされ、それまで鉄製ボックスの中にL、C、R等々がピッチで固定されていたものを、JBL 4345と同じくプリント基板構成としています。そのほか、レベル調整アッテネーターのバックカバーを金属から非磁性体に変更など細かい改良が加えられています。 その他にも、細かな改良とチューニングが加えられ、JBL 4344は従来の鋭角的な解像力とシャープな特長を持つJBL 4300シリーズに比べ、ワイドレンジ型で各ユニットが見事な繋がりを持つ素直でフレキシブな対応力を持つモニタースピーカーシステムです。このJBL 4344(MKII含む)は本国米国JBL社のプロカタログの記載リストに存在しないことから、日本向きに開発されたものと思われます。

●JBL 4344(前期型):1982年発売 ・4ウェイ・バスレフエンクロージャー(幅635×高さ1051×奥行435mm)本体重量:96Kg
【ユニット構成】低域:2235H・中低域:2121H・中域:2421B+2307+2308・高域:2405
【クロスオーバー周波数】320Hz/1.3kHz/10kHz
【マルチドライブ時推奨クロスオーバー周波数】290Hz/18dB/oct
【周波数特性】35Hz〜20kHz ±3dB
【指向特性】60゜×30(16kHz)
【最大許容入力】マルチドライブ時:300W(290Hz以下)・150W(290Hz以上)/ネットワーク時:120W
【インピーダンス】8Ω【能率】93dB(W/m)
【エンクロージャー容積】156L(ウーファー)、14L(ミッドバス)
●JBL 4344(後期型):1983年発売 ・4ウェイ・バスレフエンクロージャー(幅635×高さ1051×奥行435mm)本体重量:96Kg
【ユニット構成】低域:2235H・中低域:2121H・中域:2425J+2307+2308・高域:2405H
【クロスオーバー周波数】320Hz/1.3kHz/10kHz
【マルチドライブ時推奨クロスオーバー周波数】290Hz/18dB/oct
【周波数特性】35Hz〜20kHz ±3dB
【指向特性】60゜×30(16kHz)
【最大許容入力】マルチドライブ時:300W(290Hz以下)・150W(290Hz以上)/ネットワーク時:120W
【インピーダンス】8Ω【能率】93dB(W/m)
【エンクロージャー容積】156L(ウーファー)、14L(ミッドバス)

●JBL 4344 現状の中古マーケット状況・その他

かなり程度の良い中古品がマーケットに出回っており入手は容易です

●JBL 4344 当時の販売価格

JBL 4344:\650,000
*いずれも、1台の販売価格

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