JBL 4343/4343WX モニタースピーカー考察

JBL 4343/4343WX

JBL 4343/4343WX 解説

JBL 4343、4343WXは日本のJBL史上最も有名で一時期はオーディオマニアのステイタス的な存在でした。JBL 4343は日本国内で累計1万セット(2万台)も販売され、最大ピーク時の販売数量は年間3,000セットを超えたと言われています。 当時の異常な販売台数に、JBL本社では「日本にはそんなにスタジオがあるのか?」との、逸話が残っています。 実際にJBL 4343は4ウェイということもありレコーディングスタジオで使われることはほとんどありませんでしたが、JVCマスタリングセンターでは使われています。低歪率、過渡応答に優れた4ウェイモニタースピーカーで、低域に38cmウーファーJBL 2231A、中低域は25cmミッドウーファーJBL2121を搭載し、中域はドラーバーJBL2420にホーンJBL 2307+音響レンズJBL 2308組み合わせ、高域にはトゥイーターJBL 2405を搭載しています。ウーファーJBL2231Aのコーン紙はJBL独自のコーティング剤処理、ボイスコイルはエッジワイズ巻きリボン銅線を採用しています。中低域(ミッドバス)として搭載されたJBL2121Aはトッププレート、ポールピース、ボイスコイル、ギャップなどに高度な精密加工を施し性能を大きく高めています。また、中高域(ミッドハイ)のドライバーJBL2420はダイアフラム0.05mmジュラン合金をニューマチックドローイング法で形成し、アルミリボン線エッジワイズ巻きボイスコイルやアルニコVマグネット、純銀製インピーダンス・コントロール・リング等を採用し高性能化を図っています。高域のJBL2405には0.056mm厚のアルミ箔を空気圧で成型したリングダイアフラムを採用しています。 25cmミッドウーファーJBL2121はウーファーJBL 2231Aからの影響を避けるために、14Lのバックキャビティが設けられています。 JBL4333A,4331Aでも採用した内蔵ネットワークによるドライブと、エンクロージャー背面の切替スイッチによりによる2チャンネルマルチアンプドライブ(300Hzクロス)が可能です。また、横置きでの使用を考慮しウーファーより上部の、ユニットをマウントしたバッフル板は90゜回転させることが可能です。 また、トゥイーターの配置も左右入替えが可能です。当時のオーディオ評論家 故・瀬川冬樹氏がJBL4343を非常に高く評価しマークレビンソンとの組み合わせで自宅で常用していました。

●JBL 4343/4343WX:1976年発売
・4ウェイ・バスレフエンクロージャー(幅635×高さ1051×奥行435mm)本体重量:79Kg
【ユニット構成】低域:2231A・中低域:2121・中域:2420+2307+2308・高域:2405・ネットワーク:3143A
【クロスオーバー周波数】300Hz/1.25kHz/9.5kHz
【マルチドライブ時推奨クロスオーバー周波数】290Hz/18dB/oct
【周波数特性】35Hz〜20kHz ±3dB 【指向特性】60゜×30(16kHz)
【最大許容入力】マルチドライブ時:75W(300Hz以下)・75W(300Hz以上)/ネットワーク時:75W
【インピーダンス】8Ω【能率】93dB(新JIS)
【エンクロージャー容積】156L(ウーファー)、14L(ミッドバス)

JBL モニタースピーカー,4343,4343WX

●JBL 4343/4343WX 試聴の感想・その他

一時期、JBLの代名詞のようにいわれたJBL 4343で安いプリメインアンプでも簡単に、それなりに良く鳴っていまいました。しかし、実のところは本当に良く鳴らそうとすると非常に難しいスピーカーです。一番のネックはウーファーが底面に近い下の方に装着されているために床からの影響を受けやすかったことです。高さ調整に始まり、今でこそ珍しくなくなりましたが3点支持などいろいろなセッティング方法が雑誌等でも紹介されました。3点支持の場合、普通は前2点で後ろは1点が普通ですが、その逆、つまり前1点で後ろは2点という変則的パターンもありました。当時、いろいろ試した中では前記の変則的3点支持で、10センチ程度の角材を長さ45センチ程度に切り、スピーカーと角材の間にベーゴマを入れのが一番音離れが良かったように思います。ブロック置きが一番簡単で、多くのユーザーがこの方法を用いました(何となく固い方が良いとのイメージから)が、ブロックは決して良い結果をもたらしませんでした。また、背面からの距離によっても音が大きく変化し、ベストポジションを見つけるのに大変な労力を要します。苦労と引き替えに得られたベストセッティングのJBL4343は素晴らしい音で音楽を聴かせてくれます。特に不得意な音楽ジャンルもない優等生タイプで、それを逆に言えば”面白みがない”とも言えません。昔からの、JBLファンには結果としてあまり高い評価は受けず、特にジャズファンからは中低域(300Hz〜1.25kHz)をコーンタイプのJBL2121が受け持っていたことから”紙臭い音がする”とも言われました。

●JBL 4343/4343WX 現状の中古マーケット状況・その他

JBL 4343、JBL4343WXを合わせると日本国内で累計1万セット(2万台)も販売された大ヒット製品であることから、Yahooオークションやネット上の中古販売店も含め、JBLの大型モニタースピーカーとしては豊富に出回っています。小まめにチェックしていると相当程度の良い物も頻繁に見かけます。

●JBL 4343/4343WX 当時の販売価格

JBL 4343A:\560,000
JBL 4343AWX:\580,000
*いずれも、1台の販売価格

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