JBL 4344MKII モニタースピーカー考察
JBL 4344MKII
JBL 4344MKII 解説
JBL 4344MKIIは、前作JBL 4344でテーマとしたワイドレンジ・低歪率を一層推進したJBLのスピーカーです。すでにJBL 4344でスタジオモニターからミュージックモニターの
方向性をJBL 4344MKIIでは一層濃くし、オーソドックスでスムーズな音作りとなっています。JBL 4344の懐の深い余裕のある表現力に、音場表現力が増し奥行き表現力までもが加わったのがJBL 4344MKIIです。
JBL 4344MKIIのエンクロージャーサイズは、前作JBL 4344と同一ですが材質がパーチクルボードからMDFとなり、板厚も増しています。JBL 4344MKIIはユニットの面も、これまでは1940〜1950年代に基本設計がなされたユニットの流れを汲んでいたものを、高域用トゥイーターJBL 2405H以外は、1990年代に新規設計・開発されたユニットに全面的な入れ替えがされています。低域用ウーファーはJBL S3100で使われたコーン紙表面にアクアプラス・コーティングを施した高剛性ファイバーコンポジット・コーンと、対称磁界で低歪 のSFG（シンメトリカル・フィールド・ジオメトリー）磁気回路を内蔵したJBL ME150HSを搭載しています。連続・大入力時にもパワーコンプレッションの発生が少ないJBL独自のベンテッド・ギャップ・クーリング機構とで、非常に優れた低歪率・トランジェント特性を実現しています。
中低域を受け持つミッドバスは波形エッジのJBL 2123Hとなり、これに伴いウーファーのクロスオーバー周波数も320Hzから420Hzに引き上げられ変更されています。 中域のミッドハイのドライバーは、JBL K2S5500で使われたネオジウムマグネットを採用のJBL 275Nd です。ホーンとディフューザー（音響レンズ）は一体感を高めるために、ディフューザー（音響レンズ）のマウント方法をマジックテープからダボ留め
方式に変更され、バッフルへはホーン開口部両脇に設けられた共振防止対策用ゴムを介し取り付けるようになっています。また、ディフューザー（音響レンズ）の羽根枚数も従来の11枚から12枚に増えています。ネットワークもJBL
4344MKIIでは全面的に変更され、低音域用と中低音域以上用に独立した基板を用い、中低域以上用のネットワーク回路にはコンデンサにバッテリーでバイアスをかけ、 Aクラス動作させるチャージカップルド・リニアディフィニション･ネットワーク（JBL プロジェクトK2で開発された）を採用して、ゼロクロス歪の発生を最大限排除してます。入力端子は２組の大型スピーカーターミナルと金メッキバスバーを採用し、
ネットワークのバイパススイッチとの組み合わせで、バイワイヤリングやマルチ・アンプドライブなど、多様な接続、
駆動方法を可能としています。これまで、システムとしてのフェイズ設計を逆相としてきたJBLですが、このJBL 4344MKIIは正相となっています。もともと、2ウェイまたは3ウェイで構成されるのがJBLのプロモニタースピーであって、4ウェイはかつてJBL 4350、4355、4345、4343、4344、4344MKII、4348 と歴史を追ってありましたが、現在は存在していません。
●JBL 4344MKII：2000年発売 ・4ウェイ・バスレフエンクロージャー（幅635×高さ1051×奥行435mm）本体重量:81.9Kg
【ユニット構成】低域：ME150HS・中低域：2123H・中域：275Nd+ホーン・高域：2405H
【クロスオーバー周波数】340Hz/1.3kHz/8kHz
【マルチドライブ時推奨クロスオーバー周波数】290Hz/18dB/oct
【周波数特性】30Hz〜22kHz -6dB
【指向特性】60゜×30(16kHz)
【最大許容入力】マルチドライブ時：300W（290Hz以下）・150W（290Hz以上）/ネットワーク時：200W
【インピーダンス】6Ω【能率】95dB（W/m）
【エンクロージャー容積】156L（ウーファー）、14L（ミッドバス）
●JBL 4344MKII 現状の中古マーケット状況・その他
JBL 4344MKIIはJBL 4344と共に中古マーケットで非常に入手しやすいモデルです。
●JBL 4344MKII 当時の販売価格
JBL 4344：\680,000
＊いずれも、１台の販売価格
